魔法のバジルパスタ

8月24日(月)

朝からお腹が痛くて午後に嫌いな上司に呼び出され気分が悪かった一日。嫌いなのに話していると嫌いという感情を通り越して、この人がこのようにしか生きてこれなかったのは悲劇だと憐れみのような感情が湧く。

作品で唯一未読だった宮崎夏次系『培養肉くん』1・2読了。これはすごい作品。漫画でここまでできるなんて宮崎さんはやはり天才。夜に鳴く虫の種類が変わった。夏の終わりか。

 

8月25日(火)

秋がすぐそこまで来ている気がするのに夏は夏で終わってたまるものか!となかなかしぶとくしがみつき、最後の暑さを発揮している。ジリジリと照りつける太陽が暑い。

サイは夏祭りでもらったゴムでできたトカゲや偽物の宝石を嬉しそうに見せてくれた。昼間いつもと違う園で疲れたのか夜はいつもより早くぱたんと眠った。給料日ということを忘れていた。だんだん日が暮れるのが早くなってきた。

 

8月30日(日)

仮面ライダーゼロワン最終回。一週間前からいよいよラストか…とドキドキしていた。朝食の席でサイとこれまでの展開を振り返りつつ最終回予想。最終回では「仮面ライダーの強さとは力の強さではなく心の強さだ」と或人の父が諭す場面があり、それをきっかけに闇堕ちしていた或人は目が覚める。過去にありそうな台詞といえばそうなのだけど、力の強さが正義としてまかり通るこの社会でかなり胸に響いた。仮面ライダー、やっぱり好きだ。目の前の敵を倒さなくても、自身の溢れる怒りを鎮めずとも、暴れるまま抱き締めることができた時、初めて戦いは終わるのかもしれない。ラストにだけやや違和感。蘇ったイズは元のイズではなかった。過去は戻らない。或人のまた最初からラーニングし直す、という台詞にぞっとした。別れた恋人に再会してもその人は恋人ではない。寂しさを埋めるためか、東映のプロモーションの都合か様々な理由はあるにせよ、中身の初期化された身体だけを無理に再生させるなんて野暮なことはせず、イズはもうこの世界にいないことを或人には受け入れて欲しかったし、視聴者に提示して欲しかった。とはいえ、一年間めちゃくちゃ面白かった。

 

サイと300ピースのパズルを完成させて、糊付けして額に入れた。電気屋でフードプロセッサーを買い、育ちすぎたバジルをようやく収穫してペーストにしてパスタにしたらびっくりするぐらい美味しかった。パスタを普段あまり食べないサイもよく食べた。サイはバジルの瓶詰めを売ればいいね!と商売を持ちかけてきた。バジルペースト屋さんになろうか。たった1ミリほどの小さな種を土に蒔いて水をやり続けたらある日ぽんっと芽が出てそれがみるみる大きくなって最後はこうしてパスタになるなんてまるで手品みたいで愛おしい。自然は魔法。